今年2016年は夏に公開した映画が立て続けにヒットするという、邦画の当たり年です。
まず最初が、「シン・ゴジラ」。
エヴァンゲリオンで有名な庵野秀明監督が東宝の看板キャラクターであるゴジラを題材として、盟友樋口真嗣とともに作り上げた特撮映画です。
いまさら「ゴジラ」なんて、という前評判を吹き飛ばす勢いで大ヒットしました。
内容的にはゴジラとそれに対応する日本政府を緻密に描いた作品で、リアリティが全面に出されています。
前作であるSF色が全面に出されている「ゴジラ・ファイナルウォーズ」とは対照的です。
さて、7月末に公開され、シン・ゴジラが今年最大のヒットと思われた時期に公開されたのが、新海誠監督の「君の名は。」です。
男女の意識入れ替わりモノという意味では、古くは「転校生」なんていう名作映画もあるわけですが、「君の名は。」は男女の意識入れ替わりにプラスして、歴史改変SFという切り口を与えることにより、入れ替わることよりも、入れ替われなくなることが問題となるというパラダイム・シフトを起こした作品です。
ちなみに、多数のアニメスタッフを解雇したスタジオ・ジブリのスタッフが多数参加しているそうです。
この記事を書いてる時点で、興行収入は、「シン・ゴジラ」が78億円、「君の名は。」が約172億円です。
これは、どれくらいの数字かというと、「君の名は。」は4位の「踊る大捜査線 THE MOVIE2」に迫る数字で、
「シン・ゴジラ」は、15位の「THE LAST MESSAGE 海猿」に迫る数字です。
いずれも、フジテレビを中心とした「世界の亀山モデル」(テレビではなく映画製作の方の)作品ですね。
ちなみに、「君の名は。」が「踊る大捜査線 THE MOVIE2」を超えたら、その上には、ジブリの三作品が控えています。
「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「もののけ姫」です。後ろ2つは後20億くらいなので、もしかしたら行けるかな、という気はしますが、「千と千尋の神隠し」は304億円です。流石にこれを超えるのは困難だと思います。
さて、興行収入で比較すると、古い映画は不利となります。鑑賞料が安かったからです。では、観客動員でゴジラシリーズを比較してみましょう。そうすると、トップに「キングコング対ゴジラ(1962)」の1255万人という数字が出てきます。
初期のゴジラシリーズは化物のようなシリーズで、最初の3作が、961万、834万、1255万という数字になっています。その後の「モスラ対ゴジラ(1964)」が722万、そこから徐々に数字を落とし、第15作の「メカゴジラの逆襲(1975)」でついに97万まで低下します。
その後、1984年に一旦復活(「ゴジラ(1984)」)で320万人を記録したものの、その後の平成ゴジラシリーズでは200万〜420万という数字で、初期の数字には及んでいません。
さらに、1999年に再度復活したミレニアムシリーズでは、最終的に100万まで落ちてしまいました。
それでも、観客動員100万人というのは、結構な人数ではあります。興行収入12.6億円は並の邦画なら充分な数字かもしれません。
シン・ゴジラは535万を超えており、第5作、「三大怪獣 地球最大の決戦」に近い数字となっています。最近の低迷を脱して「ゴジラのリビルド」に成功したといえるのではないでしょうか。
この2作品以外にも、「聲の形」や「この世界の片隅に」が評判が良いです。また、年末には、東映アニメーションの完全新作「ポッピンQ」が控えています。実はこれちょっと注目しているのです。